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2017年7月2日(日)
マングローブの森を行く

平成29年7月2日、我々神奈川県弁護士会公害環境問題委員会有志は、カヌーに乗って奄美大島のマングローブの森の調査に出かけた。

筆者はマングローブとは特定の植物の名称と誤解していたのだが、そうではない。マングローブとは、熱帯、亜熱帯において、満潮時に海水が侵入する河口の湿地帯に群生する樹木群の総称である。マングローブの森に群生している植物は、そもそも陸地に生息していたが、生存競争に敗れ、陸地から海水の侵入する河口付近に生育場所を求めて移動してきたものである。
さて、調査当日、我々は川幅の広い川の本流にある発着場から出発した。出発時は、満潮であったので、川の水面は潮の満ち引きの影響がなくとても穏やかで、カヌーを漕ぐため力をこめるひつようはない。軽く漕ぐだけで、カヌーはスイスイと水面を進んでいく。
しばらく進むと、川の本流から外れ、マングローブの森の中に通じる細い水路に入っていった。
マングローブの森は、水路の間近に木々が迫っている。水路際に生育している木々の根本は水につかっている状態である、さらに潮の干満により森の中にも海水を含んだ水が入り込むようである。
 

 
マングローブの森に群生している植物は、海水の侵入する河口に育っているが、塩分を栄養として体内に取り込んでいるわけではない。体内に入った塩分は、葉から体外に排出する。塩分を排出する役割を持つ葉は、黄色がかった色をしている。黄色がかった葉を噛んでみると確かに塩っ辛い味がした。


 
細い水路を抜け、再び川の本流に戻る。本流を少し下流に向けて下り、再び細い水路に入っていく。この細い水路からは帰路となり、上流に向かってカヌーを漕ぐことになる。細い水路の両岸にマングローブの樹木が迫り、木々は我々の頭上を覆い、まるで樹木のトンネルの中を進むようである。
 

 
川の上流に向かって戻る帰路は、既に干潮の時間帯になっていた。引き潮の流れに反して、カヌーを漕ぐことになり、相当な労力を必要とし、漕いでもあまり前には進まない。また、水路の水深はみるみる浅くなっていく。木々を見ると根本に近い部分が水面から顔を出している。水面から顔を出している部分は、濡れていて今まで水に浸かっていたことがよくわかる。
 
 

水深の浅くなった水路を進むと、カヌーの船底が川底の接触する場所もあり、漕いで進むことは困難となった。船底を川底に擦りながら無理やりカヌーを漕ぐとカヌーを傷めてしまうそうだ。我々は、漕ぐことを諦めカヌーを降りて手で曳き、川を歩いて進むことになった。細い水路の出口までカヌーを引きながら歩いて進むと川の本流に突き当たり、カヌーを漕ぐのに十分な水深となった。ここで再びカヌーに乗り込むことになるが、発着場での乗り込みと異なり、スロープがあるわけではない。水面にぷかぷか浮かぶカヌーに簡単には乗り込めない。何度かトライしているうちに、びしょ濡れになってしまった。仕方なく浅瀬にカヌーを引き寄せて船底を川底につけて動かないようにして、ようやく乗り込むことが出来た。そしてしばらく引き潮に逆らいながら漕いで発着場に戻り、マングローブの森の調査を終えた。
出発から発着場に戻るまで1時間半を要した行程であった。
 

更新日時:2021年3月25日 12:12 pm

2017年6月1日(木)
鎌倉広町緑地調査

平成29年6月1日、神奈川県弁護士会環境委員会は、日本弁護士連合会環境委員会と合同で鎌倉広町緑地を調査しました。
鎌倉広町緑地とは、鎌倉市西部に広がる都市林の呼び名です。首都圏に位置し、周囲を住宅地に囲まれていながら、タヌキなどの哺乳類、オオタカなどの鳥類、ヤマユリなどの植物等が生息しており多様な生態系が維持されています。
この緑地は、約40年前、住宅開発が進められようとしていましたが、近隣住民をはじめとする市民の反対運動が巻き起こり、国、神奈川県を動かして、神奈川県、鎌倉市がこの緑地を買い取り緑地保存がなされたものです。
入場は自由ですが、生態系を維持保存するため、緑地内の動植物を持ち出さない、外部から動植物を持ち込まないということは守りましょう。
 


「緑地内から鎌倉山方面を望む」
 

「再生された水田」
 

山を登っていくと相模湾を望む眺望が出迎えてくれます。

 
 

更新日時:2021年3月25日 12:12 pm

2016年7月1日(金)
対馬・壱岐調査

平成28年7月1日から同7月4日にかけて、神奈川県弁護士会環境委員会により、対馬・壱岐調査を行いました。神奈川県環境委員会が対馬調査を行うのは、平成20年に続き2回目です。
今回調査の主たる目的は、国の天然記念物であり、絶滅危惧種の内でも最も絶滅の危険の大きい分類に属するツシマヤマネコの生息状況を追跡調査するでした。残念ながら、ツシマヤマネコの生息状況は前回調査時と横ばいもしくは減少であり、その生息数は80頭から100頭程度と推定され、絶滅が迫っています。今回、野生のツシマヤマネコに巡り合うことはできませんでしたが、野生生物保護センターで保護・飼育されている「福馬」君には会うことが出来ました。「福馬」君の名前の由来について、興味のある方は「対馬野生生物保護センター」のHPをご参照ください

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「福馬」君

また、対馬には、およそ1300年前の防人たちが築いた金田城址があり、その城壁である石塁がいまだに残っています。この金田城は、白村江の戦いに敗れた倭国が、国土防衛のために築いた城であり、その後、100年前に旧日本軍が要塞として整備して巨大な砲台が備え付けられました。旧日本軍か整備して利用できたことは、防人たちが金田城を築いた当時の土木技術の水準が高かったことを示すのではないでしょうか。

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「金田城壁址石塁」

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「金田城のある城山山頂からの眺め」

さらに、壱岐では、島に存在する多くの古墳を調査しました。壱岐には長崎県内の遺跡の6割が壱岐に存在します。壱岐は、南北17km・東西14kmと決して大きな島ではありませんが、対馬と並び、日本と大陸との中継地点であり、交易に関わった島の豪族が大きな力を持っていたことが伺われます。

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「壱岐掛木古墳」

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「壱岐猿岩」
更新日時:2021年3月25日 12:11 pm